HIV感染症は致死的な疾患から、早期に診断がつけば健康管理が可能な疾患となった。 各患者一人ひとりの健康の面からも、また感染拡大防止といった公衆衛生的な面からもHIV感染症を見逃さずに診断し治療を提供する意義は以前よりも遙かに大きく、全ての医療機関の責務であると言って良い。しかし我が国では結核専門病院、エイズ拠点病院、1類指定病院・・・といった具合に、 疾患の種類により各病院の診療任務が分けられており、診療任務が無い疾患については不思議と 診断する事ができないでいる。患者は「この感染症にちがいない」とあたりをつけて受診先を選んでいるわけではない。また、我が国の医療界に長く存在してきた「臓器別の専門性の高さ」を尊ぶ傾向は更に様々な臓器に問題を生じる疾患を診断する能力を不十分な状態においてきた。
今回のセッションでは総合診療的な視点の重要性がHIV感染症診療でも重要である事を、帝京大学医学部(内科学講座感染症科:松永直久先生)、東京医科大学病院(臨床検査医学科:村松崇先生)の両先生がご呈示された。
「HIV感染症は全身の臓器に問題を生じるから研修医に非常に良い経験となる」とはLaurence Tierney UCSF内科教授が1980年代に考えられていた事である。それを裏付けるプレゼンテーションが、今回、旭中央病院の研修医の経験として与えられた。(内科:中村朗先生、後期研修医:石原優子先生)。更にHIV感染症は全身を扱う以上、医療を提供する側もチーム医療で取り組まなければ ならない。その点で今後薬剤師の役割が極めて大きい事も再確認された事である。(横浜市立市民病院:五十嵐俊先生)
本セッションの試みがHIV感染症に関わる全ての医療従事者の方に何らかのお役に立てば、プレゼンター一同の望外の喜びとなる。
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