ウブレチド

使用法

質問1. ウブレチド錠は排尿困難にはなぜ5mg投与なのか?

回答1.

排尿困難において、1日10mg以上投与例で、死亡に至る重篤な副作用であるコリン作動性クリーゼが発現したことから、それを防止するため、2010年3月より、用量が「成人1日5mgを経口投与する」に変更となりました 1)

  1. 1)ウブレチド錠5mg 添付文書等改訂のお知らせ(2010年3月)
質問2. ウブレチド錠を排尿困難に使用する際に5mgより増量してもよいか?

回答2.

排尿困難への投与量は、1日5mgまでであり、増量はできません 1)

  1. 1)添付文書 【用法及び用量】
質問3. ウブレチド錠の食事の影響は?

回答3.

イヌにジスチグミン臭化物(0.02%w/v水溶液)として1.0mg/kgを、絶食時又は給餌後に単回経口投与し、血漿中濃度を測定した際、絶食群は給餌群に比し、Cmaxが約9.4倍、AUC0-24が約6.6倍高値でした(下図)1)

ヒトでの報告は、症例数は少ないですが、食前服用群と食後服用群で血中濃度を比較した報告があります。その結果、食前服用群でウブレチドの血中濃度が上昇する傾向が認められました 2)

  1. 1)添付文書 【薬物動態】 (参考) 2.動物実験の結果 食事の影響
  2. 2)巴 ひかる 日本排尿機能学会誌 23(1)「排尿筋低活動症例に対するジスチグミンの有用性と至適投与法の検討」2012

製剤

質問4. ウブレチド錠の無包装での安定性は?

回答4.

インタビューフォーム「製剤の各種条件下における安定性」に以下の記載があります 1)

  1. 1)インタビューフォーム IV.製剤に関する項目 4.製剤の各種条件下における安定性

薬効薬理

質問5. ウブレチド錠の作用機序は?

回答5.

アセチルコリン(Ach)はコリン作動性の神経伝達物質であり、神経末端から放出されコリン作動性受容体に結合してコリン作用を示しますが、アセチルコリンエステラーゼ(AchE)により加水分解を受け活性を失います(図1)。

ウブレチドは可逆的にAchEを阻害し、間接的にAchの作用を増強し持続させ、コリン作用すなわち副交感神経支配臓器でムスカリン作用を、また、骨格筋の神経接合部でニコチン様作用を示します(図2) 1)

  1. 1)ウブレチド錠 総合製品情報概要

安全性

質問6. ウブレチド錠の副作用は?

回答6.

添付文書 【使用上の注意】 4.副作用に以下の記載があります 1)

『総症例1,034例中143例(13.8%)に副作用が認められ、主な副作用は下痢54件(5.2%)、腹痛34件(3.3%)、発汗20件(1.9%)、尿失禁13件(1.3%)であった。(再評価結果)

重大な副作用(自発報告につき頻度不明)

  1. 1)コリン作動性クリーゼ
    本剤の投与により意識障害を伴うコリン作動性クリーゼ(初期症状:悪心・嘔吐、腹痛、下痢、唾液分泌過多、気道分泌過多、発汗、徐脈、縮瞳、呼吸困難等、臨床検査:血清コリンエステラーゼ低下)があらわれることがある(コリン作動性クリーゼは投与開始2週間以内での発現が多く報告されている)。このような場合には、直ちに投与を中止し、アトロピン硫酸塩水和物0.5~1mg(患者の症状に合わせて適宜増量)を静脈内投与する。また、呼吸不全に至ることもあるので、その場合は気道を確保し、人工換気を考慮すること。
  2. 2)狭心症、不整脈
    狭心症、不整脈(心室頻拍、心房細動、房室ブロック、洞停止等)があらわれることがある。このような場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。』

その他の副作用については添付文書を参照ください。

  1. 1)添付文書 【使用上の注意】 4.副作用
質問7. ウブレチド錠の副作用であるコリン作動性クリーゼとは?

回答7.

コリン作動性クリーゼとは、コリンエステラーゼ阻害薬(抗ChE薬)による治療中に起こる呼吸困難を伴うアセチルコリン過剰状態の急激な悪化とされ、人工呼吸を要する状態です 1)

  1. 1)ウブレチド錠5mgご使用時の注意事項
質問8. ウブレチド錠のコリン作動性クリーゼを事前に防止するにはどのようなことに注意すればよいか?

回答8.

コリン作動性クリーゼの予防には、まず初期症状の発現に注意することが重要です。
コリン作動性クリーゼの初期症状である、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、唾液分泌過多、気道分泌過多、発汗、徐脈、縮瞳、呼吸困難、コリンエステラーゼ値の急激な低下があらわれた場合には、直ちにウブレチドの投与を中止してください。

発売から2015年12月までに報告されたコリン作動性クリーゼ症例318例のうち、クリーゼ発現前の初期症状(コリン作動性症状)の解析が可能であった93例を解析したところ、消化器症状が多く報告されています。呼吸症状や、発汗などその他の症状が認められることもあります。(下図)

ウブレチドの投与に際しては、患者さん又はそれに代わる適切な方にコリン作動性クリーゼの初期症状をご説明いただき、それらが現れた場合は投与を中止し、直ちに医師に連絡し、指示を仰ぐようにご指導をお願いいたします 1)

  1. 1)ウブレチド錠5mgご使用時の注意事項 2016年度版
質問9. ウブレチド錠のコリン作動性クリーゼの発現時期は?

回答9.

コリン作動性クリーゼ症例において副作用解析が可能であった138例中52例(38%)が投与開始2週間以内に発現していた(34例投与期間不明)ため、特に投与開始2週間以内は厳重に観察してください。
長期投与でも発現している症例もありますので、服用中は十分な症状観察をお願い致します 1)

表:集計対象:2006年4月~2015年12月に報告されたコリン作動性クリーゼ症例172例
(うち、2015年1月~2015年12月に報告された症例は13例)

  1. 1)ウブレチド錠5mgご使用時の注意事項 2016年度版
質問10. ウブレチド錠のコリン作動性クリーゼへの対処法は?

回答10.

コリン作動性クリーゼの初期症状である、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、唾液分泌過多、気道分泌過多、発汗、徐脈、縮瞳、呼吸困難、コリンエステラーゼ値の急激な低下があらわれた場合には、直ちにウブレチドの投与を中止してください。
さらに初期症状の遷延・悪化が認められる場合や、縮瞳、線維束れん縮、意識障害、呼吸不全、痙攣の症状が認められる場合は、重症度に応じた対応が必要です 1)。(下図参照)

  1. 1)ウブレチド錠5mgご使用時の注意事項